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導入事例・インタビュー
真珠養殖業 西尾浩 様 (写真左)
所在地:愛媛県宇和島市
真珠養殖の放卵期がオゾン発生器で自由に調節可能に
養殖業 養殖、生物、貝の抱卵
――オゾン発生器をどのようなことに使われているのでしょうか?
真珠の養殖用のあこや貝の卵抜き (放卵) という作業です。
――それはどのような作業なのですか?
真珠養殖は、あこや貝の中に真珠の核となる球を入れて真珠として育てさせます。その核を入れるのは卵巣のそばなんですが、卵巣に卵が入っていると、真珠に黒い汚れが付いてしまいやすいのです。そこで、通常、放卵といってあこや貝が産卵のために卵を吐き出してから核を入れる作業を行います。
元々、あこや貝は5月から6月にかけて水温が22~23℃くらいの時期に自然に放卵を行うのですが、自然に任せて放卵をさせてしまうと、人間の仕事のタイミングと必ずしも合ってくれません。ですが、オゾン発生器を用いると、この放卵を人工的に行わせることができます。
――面白い現象ですね。どうしてそんなことが分かったんですか?
この現象はこの業界では広く知られている現象です。元々、雑菌を取り除く目的にオゾンが使えないかということで実験しているときに発見されたそうです。
それと似たような現象としては、あわびを飼っている水中に紫外線をあてるとあわびが放卵するということも知られています。これは紫外線を照射することで海水中に活性酸素ができることによると考えられているようです。
――オゾン発生器を使うことによるメリットというのはどのような点でしょうか?
まず放卵のタイミングを自由に調節できるという点が一番大きいですね。極端な話、一年中好きなときに放卵させることができますからね。
オゾンを使うことによって真珠の出来が良くなったりするかというのは私にはよく分かりません。使い方というのもありますね。ただ、間違いなく作業性は向上しますね。放卵というのは通常は貝を沖のほうに持っていってそこで行ったりするのですが、そのような手間もなくなりますし。
人によってはオゾンを使うことで歩留まりが良くなったという人もいるみたいです。
――どうもありがとうございました。
使い方の詳細
装置の構成:
- A. (1) オゾン発生器 (2) コンプレッサー
- B. (3) 水中ポンプ (4) エジェクター
手順:
- ■海中からあこや貝を引き上げる。
- ■貝をひとつのかごに50~100匹入れて、水槽に入れる。水槽の容量は約2トン。水槽に入れるあこや貝の総数は約3000~5000匹。
- ■水中ポンプ (海中) を用いて水槽に海水を入れる。
- ■ボイラーを用いて水温を上昇させる。22~25℃まで上昇させる。上昇させるスピードは1時間につき3℃程度。加温と同時に (2) コンプレッサーおよび (3) 水中ポンプを運転させ、(4) エジェクターを通じて水槽内に空気を吹き込む。加温と空気の吹込みにより、貝が口を開く。
- ■貝が口を開いたら (1) オゾン発生器のスイッチを入れ、エジェクターにて吹き込まれている空気中にオゾンを混入させる。オゾンの濃度が高すぎた場合は貝が口を閉じてしまうので、オゾンの濃度を低く調節する。しばらく経つと放卵が起こる。放卵が起こるとねばねばした卵で水が泡立ってくる。泡立ってきた卵は水槽からオーバーフローさせて下に流す。
- ■卵で泡立ってきたら、オゾンを止めて給水する。一旦放卵が始まってしまえば、周りの貝の放卵による刺激によって、放卵をしていない貝も放卵する。余った水はオーバーフローさせて下に流す。水温を維持しながら水槽内の水が透明になるまで水を入れる。
- ■温度を少しずつ下げる (1時間に3℃程度)。海水の水温プラス2℃程度まで下げてから貝を海中に戻す。
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インタビュアーのひとこと
インタビュアー
長倉正弥
オゾンを吹き込むことによってあこや貝が放卵を始めるという現象は、生命に対してオゾンが何らかの作用を及ぼすという好例であり、とても不思議で面白いと思います。
西尾さん、貴重な生の作業手順を教えていただき、どうもありがとうございました。
インタビュー内容は取材当時のものです。所属、業務内容などは現在では変更となっている場合があります。