導入事例・インタビュー
代表取締役 園木文明 様
所在地:宮城県石巻市 (本社:北海道札幌市)
水洗仮設トイレの水の脱色にオゾンが役立つ
トイレ 水処理、脱色
――御社の業務は何でしょうか?
循環式水洗仮設トイレの製造、販売です。
トイレ設置場 (石巻渡波エネオス跡地。左端がトイレ)
――循環式水洗仮設トイレとは何ですか?
仮設式の水洗トイレですが、バクテリアにより糞尿を分解し、オゾンにより洗浄水を脱色することで水処理を循環的に行っているというものです。
水は最初に1.3トン入れるだけで後は必要なく、循環するので排水も出ません。つまり電気設備のみあれば上水も下水設備も必要なく、通常の家庭のトイレのような感覚で水洗トイレを使用することができます。
特殊なバチルス菌という納豆菌の仲間の無害な菌を用いているため、仮設トイレ特有の悪臭も一切ありません。もちろん車両による移動も可能で、水を抜けば4トントラックで2台運ぶことができます。
仮設式水洗トイレ外観
――開発の上でご苦労されたことは何でしょうか?
3年ほど前から開発を始め、悪臭を消すのは比較的早い段階でクリアできましたが、洗浄水の色が落とせませんでした。
そこで酸化力の強いオゾンに目をつけました。その際に、オゾンに強いバクテリアを選定し直すなどのことも含め、そのあたりに少し時間がかかりました。
トイレのドアに書かれた石黒賢さんのサイン
――弊社のオゾン発生器を選ばれた理由は何でしょうか?
他社の製品は放電部の温度の上昇による濃度の低下が問題となっていました。御社のオゾン発生器を試したところ、温度上昇による濃度低下が少なかったため採用しました。それによりマイクロバブルとの相性が良く、オゾンが残留せずにほとんど水に溶解、使用されています。
また、他社の製品では連続使用していると性能劣化が著しく、それで一旦はオゾンは諦めかけたほどでした。その点、御社のオゾン発生器は長時間使っても性能の劣化が少ない点にメリットを感じています。
女川被災地、壊滅的被害を受けた魚港付近
――被災地でのトイレの評判はいかがですか?
大変喜ばれています。一度使うと普通の仮設トイレは使えないと言われるほどです。やはりトイレには快適性を求める方が多いようで、特に日本人はそういう傾向が強いと思います。
このトイレは5月18日に避難所である石巻市の住吉中学校に持ち込み、避難者の方々にお使いいただきました。その後、下水設備が回復したため8月12日にこちらの被災者救援ボランティアグループ「チーム王冠」の拠点として使われているエネオス跡地に移動し、ボランティアグループの方々などに使っていただいております。
特に避難所では、間仕切りもないためプライベートもなく、避難者の方々は大変強いストレスを抱えています。そういう方々もトイレでは一人になれ、快適な水洗トイレであればその時だけでも日常の感覚に戻れます。そのような意味でもこのトイレはお役に立てていたのではないかと思っております。
――この石黒賢さんのサインは?
俳優の石黒賢さんがちょうど近くに慰問に訪れていてたまたま通りかかったのですが、一緒にいた若い者が「お願いします」と言ったら「良いですよ」と言ってくださいまして、書いていただきました。
――お仕事の上でやり甲斐はなんですか?
元々以前にとある大手メーカーとの付き合いの中から、下水処理場などのシステムを見て、「私だったらこうしたい」というようなアイデアがいくつもありました。今、ものづくりをする会社として自分で納得できる製品ができあがったときの喜びが、一番のやり甲斐です。
――どうもありがとうございました。
使い方の詳細
トイレ外観 (写真左)、トイレ室内 (写真中)、発電機 (写真右)
水洗式の仮設トイレ。
水処理を特殊なバクテリアにより循環的に行なっており、排水が出ない。臭いもない。オゾンを洗浄水の脱色に使っており、マイクロバブルにて高効率で混合させることで十分な効果が得られている。
被災地支援ボランティアチームの拠点に置かれており、ボランティアの方々などが利用している。電源は発電機によりまかなっている。
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産業用空冷式オゾン発生器 ファボゾン5 FOG-AC5G
オゾン発生量5g/h。コンパクト、空冷式でありながら放電部の冷却効率の安定性に優れます。
インタビュアーのひとこと
インタビュアー
長倉正弥
電気設備のみで上下水を必要としない大変画期的な水洗式仮設トイレです。ライフラインの断たれた被災地避難所では物心両面において大変に貢献されたことと思われます。
私もトイレの現場を見る際に合わせて、石巻トイレ現場からほど近い場所にある特に被害の酷かったという女川漁港のあたりを拝見したのですが、まさに壊滅的状態であり、大自然が牙を向いた際の猛威を実感いたしました。トイレ自体とは直接の関係はありませんが、このような被害があった被災地の近辺に設置され、人々に貢献しているものであるという実感を込め、一緒に写真を掲載させていただいております。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興が行われますことをご祈念申し上げます。
なお本ページに掲載の動画およびパノラマ写真は、道機産業さんよりご提供いただいております。どうもありがとうございました。
インタビュー内容は取材当時のものです。所属、業務内容などは現在では変更となっている場合があります。