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導入事例・インタビュー
先端科学技術研究センター 特任助教 井上亮太郎 様
所在地:東京都目黒区
太陽電池開発。真空装置にオゾンガスで酸素欠損の抑制効果
研究電磁気学太陽電池 成膜、真空導入
――どのようなことをされている研究室ですか?
研究室全体としてはいくつかの研究テーマを持っていますが、私の関わっているテーマは酸化物強誘電体をベースとした太陽電池の開発です。酸化物強誘電体の高品質な膜を作り、光を照射して、発生する電圧や電流を調べています。
実験中の修士1年生 松永さん
――強誘電体とはどのような物質ですか?
電気を流さない物質に電圧をかけると、プラスの電気の中心とマイナスの電気の中心が物質中でずれるという現象が起きます。これを分極といいます。
強誘電体では、不思議なことに電圧をかけなくてもこの分極が起きてしまいます。この自発的な分極を利用して太陽電池を開発しようとしています。
実験中の修士1年生 平野さん
――酸化物強誘電体薄膜はどのようにして作るのですか?
まず原材料を混ぜ合わせて電気炉で焼き、酸化物強誘電体のペレットを作ります。これは基本的に薄膜と同じ物質ですが結晶の方向がそろっていません。
ペレットに真空中でパルスレーザーを照射して飛び散るペレット粉末に基板を近づけると、再結晶化して結晶の方向がそろった薄膜を基板の上に堆積させることができます。
研究室内
――オゾン発生器はどのような用途に使っていますか?
酸化物強誘電体のペレットを再結晶化する際、酸素が抜けてしまうのを抑えるために真空チャンバー内にオゾン発生器からオゾンガスを導入します。オゾンガスは酸素ガスよりも酸化力が強いので、より少量のガスで酸素欠損 (酸素欠陥) を抑制する効果があります。
結果として、酸素欠損を抑えながら真空チャンバーの圧力を1桁から2桁下げて高品質な薄膜を作ることができます。
X線分析装置
――エコデザインのオゾン発生器の印象はいかがですか?
大学院生のころに別の研究室でオゾンガスを使って酸化物薄膜を作製している装置を見学させていただいたことがあります。
その時は、オゾンガスは使ってみたいけれどもとても危険でこわい、という印象を持ちました。エコデザインの装置はとても使いやすいですし、マニュアルがしっかりしているので危険な作業をしなくて済むのがありがたいです。
アフターサービスも充実していて、装置の調子が悪かった時は、一日二回も来ていただいたこともありました。
東大先端研構内
――研究の上でのやり甲斐は何でしょうか?
一番の醍醐味は実験中にとっさの判断を求められた時です。刻一刻と状況が変化する実験中で異常な値のデータが出た時など、何をすべきか決断できるのは実験を行っている当人だけです。そういう時のワクワク感というのは他では代えられないものがありますね。そういう時の判断は論理というよりは直感的なものです。過去の経験の集積がとっさの判断時にぱっと出てくる。それは実験特有の感覚です。結果的に判断が間違っている時もあって、そういうことは忘れられない経験になります。
実験とは、思考だけではなく実際に物をいじくって五感で感じることが面白いし、経験として蓄積されるものだと思います。
東大先端研構内
――どうもありがとうございました。
使い方の詳細
高純度オゾン生成装置 (写真左)、真空成膜装置 (写真右)
真空成膜装置に高純度オゾンを導入し、成膜時の酸素欠損を防止している。
研究用途におすすめ機種の詳細はこちらから
研究用水冷オゾン発生器 ラボゾン15/40 LOG-LCシリーズ
最高オゾン濃度200g/m3以上。接オゾンガス部メタルフリー化を実現し、パーティクルの混じらないクリーンなオゾンを利用できます。高濃度のオゾンを使いたい方に最適の研究用オゾン発生器です。
インタビュアーのひとこと
インタビュアー
長倉正弥
大変高度な先端的研究に弊社のオゾン生成装置をご使用いただいています。
ご担当の井上先生は大変謙虚な人柄で、職務に対する真摯な姿勢も素晴らしく、人格的にも是非見習わせていただきたいと思いました。
真空成膜分野での高純度オゾンの応用には様々な可能性があると考えられ、今後各大学、企業等にて研究が進んでいくものと思います。
インタビュー内容は取材当時のものです。所属、業務内容などは現在では変更となっている場合があります。