1. オゾンの性質

(1)化学的性質

オゾンの化学式はO3で、3つの酸素原子が下図のように2等辺三角形を作る構造を持ってます。

オゾン分子構造
酸素分子構造

オゾンはこの3つの酸素原子のうちの一つを他の物質に与えて、O2すなわち通常空気中にある酸素分子になろうとする性質があります。

このためにオゾンは強い酸化作用を持っています。

酸化力の強さは酸化電位で表しますが、それによれば、オゾンはフッ素についで強く、過酸化水素、塩素、次亜塩素酸などより強い酸化力を持っています。

ほとんどの有機物や金属がオゾンによって酸化されます。

オゾン同士は高純度オゾンの場合には反応しにくいのですが、不純物が含まれているとオゾン同士が反応して酸素になります。

このためオゾンは保存が困難です。また濃いオゾンはこの反応が連鎖的に起こって爆発することがあります。

下表にオゾンと他の物質の化学反応の例を示します。

物質名称 化学記号 オゾンとの反応
アンモニア NH3 4O3+2NH3
NH4NO2+H2O2+4O2
NH4NO2+H2O+4O2
亜硫酸ガス SO2 O3+SO2
⇒3SO3
硫黄 S 2O3+2S
⇒2SO2+O2(推定)
一酸化炭素 CO O3+CO
⇒CO2+O2
エチレン CH2=CH2 1. O3+CH2=CH2
⇒CH3CHO(アセトアルデヒド)+O2
2. 2O3+CH2=CH2
⇒CH3CO2H(酢酸)+2O2
3. 2O3+CH2=CH2
⇒2CO2+2H2O
過酸化水素 H2O2 O3+H2O2
⇒H2O+2O2
酸化砒素 As2O3 2O3+As2O3
⇒As2O5+2O2
3酸化窒素 N2O3 O3+NO3
⇒N2O4+O2
⇔2NO2+O2
水素 H2 O3+H2
⇒H2O+O2
窒素 N2 反応しにくい。
メタン CH4 O3+CH4
⇒HCO2H(ギ酸)+H2O(推定)
ホルムアルデヒド HCHO O3+HCHO
⇒HCO2H(ギ酸)+O2(推定)
ヨウ化カリウム KI O3+2KI+H2O(中性水)
⇒O2+I2+2KOH
ヨウ素 I 2I+O3
⇒I2O3又は4I+3O3
⇒I3O9(推定)
りん P 4O3+4P
⇒2P2O5+O2(推定)
金属 白金族を除く全ての金属を酸化する。
ステンレスは比較的耐オゾン性がある。
25%のクロムを含む合金のフェロクロミウムの耐オゾン性は特に高い。

※情報を一部修正いたしました。(2019年1月16日)

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