2. オゾン利用の現状と将来

(3)オゾン利用の将来

オゾンは他の殺菌剤や酸化剤のように残留性がなく、しかも一方には有害有機物を分解・無害化する作用も認められていることから、環境を重視する世界的風潮のなかでその利用範囲は今後飛躍的に拡大していくと考えられています。

オゾンの需要については、例えば杉光英俊博士は現在酸化剤・消毒剤等に使用されている塩素、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素等のかなりの部分がオゾンに置き換わることにより、オゾンの使用量が将来現在(年間約2万トン)からその20倍以上になると予測しています。

オゾンの生産コストの低減

市場のグローバル化とも関連してオゾン発生器のコストが低減し、また発生効率も改善されることによりオゾンの生産コストが大幅に低減してます。

水のローカルリサイクル

水をその使用した場所で浄化し再利用することは、河川や海の汚染の防止と水不足の解消の両面で望ましい方向と考えられますが、このような水のローカルリサイクルのための利用です。

関連して雨水の浄化、非常用飲料水の殺菌等も考えられます。

バイオテクノロジー

細菌を制御することはバイオテクノロジーの基本と考えられますが、オゾンはその有用な手段として活躍するでしょう。

オゾン単独での殺菌効果は相当詳細なデータが蓄積されていますが、今後は加熱、紫外線、超音波等の他の殺菌手段と組み合わせて選択的な殺菌等の技術が進展する可能性があります。

農薬の代替

現在既に水耕栽培では水の殺菌にオゾンが用いられていますが、今後より広範な農業分野で植物の殺菌、殺虫等に利用される可能性があります。

植物は一般に微生物や昆虫に比してオゾンに耐久性があるのでその差違を利用して、植物の殺菌、殺虫が可能と考えられます。

オゾン水の濃度は現在100ppm程度までは可能であり、そのようなオゾン水の植物殺菌及び殺虫への利用も考えられます。

機能性酸化膜

今後、金属もしくは金属を被覆したガラス、セラミック、有機材料等の表面にオゾンにより機能性の酸化膜を形成する技術の研究開発、実用化が期待出来ます。

機能性のある酸化膜として、次の例があります。

  • 耐摩耗性(Al2O3,ZrO2
  • ガス非透過性(Cr2O3,Al2O3
  • 発ガス防止性(Cr2O3,Al2O3
  • 耐熱性(Al2O3,ZrO2,BeO)
  • 断熱性
  • 電気絶縁性
  • 圧電性(BaTiO3,PbZrO3
  • 高誘電性(TiO2,BaTiO3
  • 蛍光性(ZnO,Y2O3:Eu)
  • 透光性(SiO2,Al2O3,ZrO2
  • 電気伝導性(In2O3:Sn,VO2
  • 半導性(SiO2
  • 電子放射性(Ag2O:Cs,BeO)
  • 焦電性(PbTiO3
  • 磁性(Fe3O4,CoFe2O4
  • 反磁性(MnO,FeO,NiO)
  • 選択吸着性(TiO2
  • 耐食性(Cr2O3,Al2O3
  • 触媒性(Fe3O4,Al2O3,SiO2,CuO?・MnO2
  • イオン伝導性(ZrO2,Bi2O3
その他

オゾンの医療への応用、薬品製造への応用等今後の発展が期待されます。

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